2019年の初雪から学んだこと
2019年、京都に新年初めての雪が降った。雨に近い雪で、落ちる速度は早い。でも、雪の落ちる速さと同じくらいに、視線を下に下ろすと一つ一つの雪がゆっくり宙を舞いながら落ちていくのが分かった。
バイト先に向かう電車を待っている間、視線を下ろしたり、じっと見つめたりして雪の速度が変わるのを楽しんでいた。
人生の一つ一つの出来事もこれと同じだなとふと思った。日々起こる出来事に注意を向けなければあっという間に過ぎていく。しかし注意を凝らしてみれば、一つ一つがかけがえのない経験なのかもしれない。
大人になるにつれ、人はどうでもいいことをしなくなる。いかに効率をあげるか?何が価値があるかことか?どうすればライバルより早く上達できるか?
そんなものに目を凝らしていたら、視野は狭くなるばかり。そして、何気ないことから学べることも素通りしてしまう。子供は遊びを通して、無邪気にいろんなものを学んでいく。そこに周りを気にする目はない。
2年前、デザイナーを志してよかったなと思う。デザインを通して、世界の解像度が上がっていく感覚が今は好きで、その学びは今後も尽きることはないだろう。
そして、大人になって、「社会」というものに入ると、一つ、また一つと、感性の受動態が閉じられて、やがて、何も学ばなくなってしまう。言い訳や理屈ばかり長けてきて、口から出るのは、こんな質問ばかり。
「いくらするの?」
「何の役に立つの?」
「どんなメリットがあるの?」
(子供の時代が終わる時 - 「ムナーリの言葉」より)