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100年生きる時代で、いかに戦略を立て幸せに生きるか〜LIFE SHIFT

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先日、「Life Shift」を読みました。この本は2012年に出版された「ワーク・シフト」の続編です。前作「ワーク・シフト」のテーマは「テクノロジーの発達によって、仕事や働き方がどのように変わるか」というものに対し、本作は「誰もが100年生きうる時代で、どのように私たちは生きて行くか」をテーマにしたものです。

なかなか文量も多く、読むのは大変でしたが、読んだ感想としては、「20代、30代は読んでおかないとやばいぞ…」と思うほど、これからの変化の激しい時代で知るべきことが書かれていた気がしました。

分量も多く、たくさんのことが書いていましたが、結局のところ本書の主張は、これからの時代に必要なのは、どれだけ不確実性を予測し、対応することができるかということです。

この変化の多い時代で、当たり前だったものはどんどんそうではなくなります。そんな中で生きていけるのは、どれだけ変化に対応し、失敗を恐れず試行錯誤できる人です。

そして、それに必要なのは、いかに常識を疑い、最悪を考え、リスクと向き合うことができるか、ということでしょう。

例えば、サッカー日本代表の長谷部誠は、著書「心を整える。」で、「常に最悪を考える」ことを意識していると言っています。2010年の南アフリカワールドカップ、日本はリーグ戦を2位で通過し、決勝トーナメントの初戦でパラグアイと当たりました。0-0のままPK戦になり、惜しくも敗北してしまいました。その敗北が決まった瞬間が以下の写真です。

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(引用:http://hatenanews.com/articles/201007/1387)

一番左にいるのは、本田圭佑ですが、敗北が決定した瞬間うなだれています。そして、その隣にいるのがキャプテンを務めた長谷部です。彼の顔は、敗北を悔やむよりは、むしろ清々しく見え、チームの誰よりもいち早く前を向きました。それができたのは、長谷部が常に最悪を考え、よりよいアクションを起こすには、どうすればいいかを考えていたからです。(詳しくは本書にて)

長谷部のように、常に最悪の事態を考え、リスクを考えること。それが、どんな結果になってしまっても、いち早く次の行動に移り、未来を切り開くために必要なことだと思います。

この「LIFE SHIFT」では、これからの時代で、予測される働き方、社会の動きを予測し、どんなことが起こりうえるかが書かれています。これは決して、予言の書というものではなく、どう戦略を立て生きて行くかのヒントになる本です。特に若い世代の方はオススメです。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

ライフシフト〜100年時代の人生戦略

今世界は、ITの発達により、より豊かになっています。そして、なによりわかっているのは、私たちの寿命がこれまで以上に長くなることです。研究によれば、いま先進国で生まれる子供は、50%を上回る確率で105歳まで生きることが明らかになっています。

いま20歳の人は100歳以上、40歳以上の人は95歳以上、60歳以上に人は90歳以上生きる確率が半分以上あるという。これはSFの話ではないのに、この現実に正面から向き合う人はまだまだ多くありません。しかし、世界ではこの現実を受けとめ、動き出している人が多くいます。

この100歳まで生きるという事実には、1つの問題点があります。それは、仮に今までの、3ステージ(教育→労働→引退)のまま100歳まで生きるとした場合、65歳で引退しても100歳まで、資金が持たないということです。100歳まで生きるのであれば、当然その分の資産がさらに必要になります。

100歳まで生きるとして、勤労時代の毎年所得の役10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%相当の資金で毎年暮らしたいと計算すれば、80代まで働く計算になってしまいます。

つまり、100歳まで生きるという長寿の恩恵が、まるで呪いのように死ぬまで働き続けなくてはいけません。この問題に向き合うにはどうすべきかというのが、本書では様々な視点で解説されています。

具体的には、以下です。

  • 新しい職種とスキルが登場する
  • 金銭的資産と同じくらい、非金銭的資産が必要になる
  • 人生は3ステージ化から5ステージ化する
  • 変化が当たり前になる
  • 人生の新しいステージが現れる
  • レクリエーション(娯楽)から、リ・クリエーション(想像)が重要になる
  • 一斉更新が終わり、「エイジ」と「ステージ」がイコールでなくなる
  • 選択肢を持っておくことの価値がます
  • 若々しく生きるようになる
  • 家庭と仕事の関係が変わる
  • 実験(生き方)が活発になる
  • 人事制度をめぐる戦いが始まる
  • 政府が取り組むべき課題も増える

その中でキーワードとなるのが、「人生のマルチステージ化」、「無形資産」、「自己主体感」です。では、それぞれまとめていきましょう。

ポイント
  1. 人生のマルチステージ化
  2. 無形資産
  3. 自己主体感

1.人生のマルチステージ化

人生のマルチステージとは、いままでのような 教育→仕事→引退という3ステージでの人生を選ぶ人が減り、より多くのステージからなる人生を選ぶ人が増えるということです。

その新たなステージが、「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」の3つのステージです。

エクスプローラーは、旅をしたり、経験を積み、社会の見聞を広める。インディペンデント・プロデューサーは、キャリアを外れ、自分で職を生み出す。ポートフォリオ・ワーカーは、キャリアを外れ、自分で職を生み出す、いわゆる起業家。最後のポートフォリオ・ワーカーは、同時にいくつもの活動に関わるというもの。

これかの、ステージが3ステージのいずれかの期間に入ることが多くなり、若い世代は何度もそれぞれの移行を繰り返すと言っています。

では、なぜこれらのステージへの移行が必要になり、増えていくのでしょうか?なぜなら、冒頭で述べた通り、仮に100歳まで生きるとすると、老後の資産をためるためにそれだけ長く働く必要がでてきます。しかし、3ステージのままであれば、キャリアの終盤では変化が激しい中、いままでのスキルが役に立たなくなり、働く場がなくなってしまうからです。

それには、資産を貯める、新たなスキルをつける、新たな仕事に就くための人との関係(人脈)を気づく必要があるのです。

では、次にそれらの資産について説明していきましょう。

2.無形資産

寿命が100年になる時代には、マイホームや現金や銀行預金といった「有形資産」だけでなく、目に見えない資産の「無形資産」が重要になります。

もちろん有形資産のお金も大事ですが、私たちはたいてい、やさしい家族、素晴らしい友人、高度なスキルと知識、肉体的・精神的な健康に恵まれた人生を「よい人生」と考えるからです。この無形資産は、「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つに分かれます。

1.生産性資産

人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ資産になる。スキルと知識が主な要素。

2.活力資産

肉体的・精神的な健康と幸福のこと。健康、友人関係、パートナーやその他の家族との良好な関係なことが該当する。

3.変身資産

自分についてよく知っていること、多様性に飛んだ人的ネットワークをもっていること、新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていること、などが該当する。

これらの無形資産が、有形資産と同じくらい重要になります。長寿化が進むと3ステージでは、仕事の割合が比例して増えるため、お金以外の無形資産を気づくのが困難になるのです。だからこそ、先ほどの3つのステージの移行が頻繁になるといいます。

面白いのは「変身資産」の、自分についてよく知っていること、つまり、アイデンティティーを築いていくことが、ステージを変えて行く中で重要になってくるという本書の主張です。

というのも、ステージの移り変わりをするを決意するには、自分が何に価値観を置いているかが意思決定の指標となるからです。自分にビジョンや、軸があれば、この意思決定がスムーズに行くというわけです。

だから、エクスプローラーとして、若い時期に世界を旅することも重要だと述べられています。しかし、注意したいのは、ただ観光や旅行だけにとどまらず、現地の人と関わり、自分の知見を広めることに意味があるということです。

3.自己主体感

ここまで述べてきたように、寿命が100年の生活をよりよく生き延びるには、3ステージの人生から脱却し、無形の資産のマネジメントを行い、人生の設計を大きく変更する必要があります。

しかし、これだけでは十分ではなく、必要になるのはお金の管理です。そこで重要になるのは、「自己効力感(自分ならできる、という認識)」「自己主体感(自ら取り組む、という認識)」です。特に、この自ら取り組むという「自己主体感」が重要になります。

適切な資金計画を行うには、この2つの要素を備えている必要があるといいます。なぜなら、人は誰もがセルフ・コントロール(自己抑制)に苦労しているからです。

経済学者が唱えた「双曲割引」という概念があります。人は、遠い将来のことには比較的辛抱強いが、近い将来のことにはせっかちである、というものです。

例えば、今すぐ100ドルもらうのと、来週105ドルもらうのでは、多くの人は前者を選ぶ。 しかし、1年後に100ドルもらう場合と、1年1週間後に105ドルもらう場合を提示した時、多くの人は、後者を選ぶ。

このように、私たちは短期的には忍耐がなく、長期的には忍耐芯を発揮できるというものです。(問題は遠い将来が近づいてきた時に、長期計画が近い将来の問題になり、せっかちになってしまうこと。)

そこで、引退後の蓄えを十分にしない人が多いのは、まさにこの現象が原因だといいます。

そこで、重要になるのが「自己主体感」であり、本書で進められているのは「未来の自分に責任を持つこと」を常に意識することです。つまり、未来の自分が隣に座っていると想像し、「70〜80歳になったときの私は、いま私が下している決断を評価しているだろうか?」と自問することです。

これを考えた時、ガンジーやスティーブ・ジョブズは、まさに理に叶っていたといえるでしょう。

「Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever. (明日死ぬかのように今日を生きなさい。そして、永遠に生きるかのように学びなさい。) ガンジー

 

毎朝、鏡の中の自分に問いかけてきた。「もしも今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか?」と。NOと答える日が何日も続くようであれば、何かを変えなければならないということだ。」 スティーブ・ジョブズ

さいごに

変化の激しいこの時代、たくさんの当たり前が、そうでなくなっていくでしょう。その変化に対処するには、不確実性をどれだけ考えるのも一つです。しかし、やはり未来に何が起こるなんて、誰も予測できません。

だからこそ、今この瞬間を生きる。未来の自分が隣にいると考え、今の行動は果たして本当にすべきことなのか意識する。そんなことから、一歩ずつ変わっていけるのだと思うのです。

どうしても、未来に悲観的になってしまうことも多いですが、今この瞬間を楽しみ、未来を切り開いていきましょう。

by みみずのみずの(@mimizunomizuno)