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何気ない日々から学びを受け取るブログ

人生の幸福度最大化に必要なのは、自分なりの物差しと素直さ

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Prologue

1. 振り返り

大学を休学してもう少しで1年を迎えようとしている。去年の1月ごろ、どうしても留学に行きたかったから、奨学金の選考で頭がいっぱいだった。1次選考も通過し、2次選考の面接も手応えしかなかったから浮かれていたら、結果は落選だった。

それでもこのまま就活するのは後悔すると思ったから、大学を休学することにした。尊敬する誰かの真似をするように「うるさい、おれは世界で活躍するデザイナーになるんだ!」と言わんばかりの勢いで、東京に行って有名なデザイン会社にインターンさせてくれるようにお願いした。

自分の熱意を伝えたけれど、その人事の人は「その熱意を証明するだけの、物をみせてほしい」と、ただそう言った。

結局、自分には成し遂げたことも、それを証明する物も何もなかったから、仕方なくたまたま合格していたベトナムのIT企業でインターンすることにした。別にベトナムにいくべき理由もなかったけれど、決意を固めて海外に飛び出してみることにした。

しかし、そこでもなかなか折られ、いろいろあって実家の京都に帰ることになり、悲しい出来事があったり、まだまだ短い人生だけど本当に大変な1年だったと振り返って思う。

そんな中、今までの困難や壁にぶつかった時、昔メンターに言われた言葉が自分の心にふと湧き上がってくる。

自分のことをバカだとか思ってはいけない。でも目の前の現実は受け止めなくてはいけないよ。つらいかもしれないけど、一歩ずつ乗り越えていくしかないんだ。

 

2. 嘘をつかない

今年の夏のベトナムにいた時、こんな人になりたいと思うような日本人の経営者の方に出会った。今までの人生で、こんな人になりたいと尊敬するような人が何人かいる。

その人のしゃべる言葉には曇りのようなものが一切なく、人を動かす力みたいなものを感じた。そしてなにより、いろんな人から愛され信頼されていた。

どうしてそんなに人を動かせるような喋り方ができるんですか?と聞いてみたら「そんなの知らねーよw」 と笑われた。しかし、その隣にいた社員の方がこう言った。「〜さんはどんな時でも決して嘘をつかない。だからどんな人にも信頼されるんだよ」

人生における幸せとは

つまらないことで悩んでばっかりだけど、人生における幸せってなんだろうと心のどこかで日々思いながら今年の1年は過ごしていた気がする。過去のブログは気持ち悪すぎて見返さないけど、こんな記事も書いていた。

ベトナムに行ってる際、どうしたら幸せな人生を歩むことができるんだろう... と考える時期があった。そんな時、インテリアデザイナーでブログを読んでから尊敬しているYoko Kloeden(@yokokloeden)さんが紹介していた「イノベーション・オブ・ライフ」を読んだ。(原題は「How will you measure your life?」)

これは、「イノベーションのジレンマ」で有名な(まだ読んでない)ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が、経営戦略を人生訓に落としこみだ本。

クリステンセン教授は、優秀な学生が大学を卒業するまでは立派な人生を歩んでいたのに、社会に出てから人生を踏み出す人があまりにも多いという事実を目の当たりにしたことから、本書を書くに至ったという。

本書で主張するのは、原題の言葉通り「人生を評価する自分なりのものさしを持つ」ということ。具体的には以下の3つの質問に答えるに当たって、あらゆる側面から本書では考えいく内容。

  1. どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろう?
  2. どうすれば伴侶や家族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎない幸せのよりどころにできるだろう?
  3. どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?

自分なりのものさしとは、美意識であり良心

これと関連して読んだのが、山口周さんの「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 」という本。題名がいかにもという感じだけど、単純な自己啓発ではなかった。大枠は以下の3つ。

  1. 論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある
  2. 世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある
  3. システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している

具体的な内容は、多くの人が論理的なスキルを身につけた結果、世界の市場で「正解のコモディティ化」が発生している。論理的に思考するということはつまり、他人と同じ正解を出すことであるから、必然的に「差別化の消失」を招くことになる。

昨今では、「VUCA」という言葉がよく言われるようにたったみたいで、「Volality = 不安定」「Uncertainty = 不確実」「Complexity = 曖昧」という今の世界の状況を表す単語。

このような時代において、論理的で理性的であろうとすれば、うまくいかない世界になっていると述べている。そこで必要とされるのが、内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」だということ。

美意識とはつまり、道徳や世界観といった個人の内面的な規範。モラルのようなもの。個人的には自分にゆかりある新島襄が信念を持って貫いた「良心 ( conscience ) 」の精神という言葉がしっくりくる。

なぜ、美意識?となるけれど、わかりやすいのが昨年あったキュレーションメディアの問題。医療系サイト「WELQ(ウェルク)」は、人の生命に関わるものであり、信頼性には十分な配慮が求められべきです。

しかし、運営会社は「情報の真偽については、その責を負わない」と逃げて置きながら、検索エンジンで自社サイトのみが表示されるように操作することで、ユーザーが「信頼できる情報源」へアクセスできることを妨害していた点が1番の問題でした。

ここから考えるべきは、グレーゾーンで成功を目指すビジネスモデルを考案した結果、最初は白に近い領域だったのが、利益を追求するうちに限りなく黒に近い領域にシフトしていったこと。 筆者の山口さんはこの部分にこそ、美意識に代表されるような内部的な規範が、全く機能していないことが問題だと指摘しています。

クリステンセン教授も述べているように、多くのエリートがWELQの問題のように、犯罪に手を染めるケースが増えているようです。その原因となっているのが「達成動機」。達成動機というものは「与えられた目標を達成したい」という欲求のこと。

より優秀な人ほど、達成動機が高いということが統計的にわかっているそうで、「高すぎる達成動機」を持つ人は「達成できない自分」を許すことができないために、グレーな行為に走ってしまうという矛盾に至ることが、山口さんとクリステンセン教授が述べていることです。

そこで必要になるのが、「美意識であり」「人生を評価する自分なりのものさし」につながってくるということ。

日本は特に「罪の文化」より「恥の文化」であることが要因の1つかもしれないという指摘にもすごく共感した。罪を犯すことよりも、恥をかかず周りに認められたいという文化が自分にもあるように感じます。そんな中で、自分を評価する具体的にあものさしが必要になる気がする。

正直な人は損か?

自分なりの物差しをもち、嘘をつかず自分に素直に正直に生きること。 これができればいいけれど、果たしてキャリアで成功する上でそれは実現できるのか?それに当たっては、親切な人が最後に勝つという根拠を科学的に解明した実験があった。

親切にしたほうが良い理由を、科学的根拠に基づいて説明しています。

 

動画には、「囚人のジレンマ」というゲームが登場します。とても有名なゲームで、2人のプレイヤーが「defect(裏切り)」と「cooperate(協調)」という2種類のカードだけを使って対戦します。プレイヤーはそれぞれ、カードのどちらか1枚を選んでテーブルに置くのですが、2人とも「協調」を出せば、互いに300ドルの報酬を獲得できます。1人が「裏切り」、1人が「協調」を出せば、「協調」側には100ドルの罰金が科せられ、「裏切り」側には500ドルの報酬が入ります。2人とも「裏切り」を出した場合は、双方とも罰金10ドルを支払います。

 

毎回の対戦を細かく見ていくと、プレイヤーは、自分にとっては「裏切り」が常にベストな選択肢であるとして、自己中心的な姿勢でゲームに挑む傾向が見られます。ところが、科学者らがコンピューターを使った膨大なシミュレーションを実施したところ、親切心に基づいた作戦でプレイしたほうがはるかに効果的だとわかったのです。

 

「やられたら、やり返す」作戦、つまり、相手が「裏切り」を出したら、自分は次の回では「裏切り」を、相手が「協調」を出したら、自分は次の回で「協調」を出す、というやりかたが、総合的に見て一番良い作戦だという結果が出ました。動画ではさらに、自然界や動物界でも同様に、親切心、つまり、自分がしてもらいたいことを相手にしてあげる姿勢が重要な要素であると指摘しています。自分の利益を考えて周囲に注意することも大切ですが、親切にすることも、常に効果的な戦略なのです。

「親切な人」が最後には勝つ? その根拠を科学的に解明

つまりは、どんな人でもとりあえず信じて見る。もし裏切られたら、裏切り返す。そして、相手が寄り添ってきたらこちらもしっかり寄り添うということ。

こんな生き方をしていたら、振り回されてしまいそうだけど、大事なのはどんな人でも最初から相手を疑っていては誰も信用してはくれないということかもしれないということ。今の時代たくさんの情報であふれているから、どんなことでも疑うことは大事だけれど、人と関わる時、まずその人のことを認めてみることを心がけたい。

epilogue

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「アバウトタイム」という映画が好きで何十回もみている。この映画では、主人公が20歳になった時、お父さんから一族の男は20歳になるとタイムトラベルができることを告げられ、その力を使って人生の伴侶である恋人を見つけようとする物語。

お金でもなく、キャリアでもなく、素敵な恋人を探すなんてやっぱ夢物語でしょ、って一見思うかもしれないけど、それが違和感なく進んでいくのがこの映画のすごいところ。タイムトラベルの力を行使する中で、主人公は様々な人生の教訓を学んでいく。

少しネタバレになるけれど、この映画の好きなところは、物語の中盤を過ぎたあたりで、主人公はお父さんからが見つけたタイムトラベルの真の秘訣を告げられるシーン。

その秘訣とは、1回目は普通の人と同じように1日を過ごし、タイムトラベルを使って同じ1日を、同じように2回過ごしてみるということ。

主人公は1回目の1日で、同僚の失敗に何も声をかけられなかったが、2回目では失敗を笑いに変えて励ましてみる。何気ない店員とのやりとりの最後、2回目では笑顔でありがとうと一言加えてみる。ある仕事を終わらせた時、ふと安堵して終わっていたことを、2回目は同僚と名一杯大はしゃぎして喜んでみる。急いで通り過ぎていた景色に、ふと足を止め、2回目は心から感動してみる。

主人公は、1回目は緊張や不安で気づかなかった人生の素晴らしさに、2回目の同じ1日では気づくことができる。

 

もちろん、人生やり直すこともできなければ、生きていればもう経験したくないほどつらいこともある。

スティーブ・ジョブズがしていたように「今日が人生最後の日」だと思って生きることは正直難しい。でも、毎日の1日をまるで未来から帰ってきたとふと思って生きてみると、何気ない1日をよりよい1日にすることはできる。何気ない日常から学びを受け取ることができる。なにより身近な大切な誰かに優しくできる気がする。

自分の心に素直に正直で、他人に優しくあることで、毎日を幸せに生きることができると思う。そして、こうして振り返りを行うことこそが、タイムトラベルするかのように2回目の1日を生きる秘訣だと自分にそう言い聞かせる。