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これからの時代に必要不可欠な「生産性」の話~自分の時間を取り戻そう

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元マッキンゼー出身で、社会派ブロガーのちきりんさんが出したばかりの「自分の時間を取り戻そう」を先日読みました。これは、ちきりんさんが出した「自分のアタマで考えよう」「マーケット感覚を身につけよう」に続く、シリーズの3冊目です。

個人的に好きな「自分の頭で考えよう」のテーマは、題名の通り「自分の頭で考えること」でした。実際にある社会の問題に対して、情報を鵜呑みにせず、どう自分の考えていくかを分かりやすく解説しています。ロジカルシンキングの入門のような形で、とてもよかったです。

一方、今回の本書でのテーマは「生産性」です。ちきりんさんは、本書を出すと同時に、伊賀 泰代という名前で「生産性」という本も出版しています。公式には同じ人物であるかは公表してないみたいですが、書いているのは同人物と言っていいでしょう。

今回の「自分の時間を取り戻そう」は、ブロガーちきりんの視点から、「日々の暮らしの生産性をあげよう!」と言った主張に対して、著書「生産性」は元マッキンゼー出身、伊賀 泰代の視点から「日々の仕事の生産性をどう上げるか」を語っているような形です。

一貫して「なぜ生産性が必要なのか」、また「どのように生産性を上げていくべきか」について語られています。これからのITの発達で変わっていく世界で、重要なテーマの一つが「生産性」であり、終始なるほどな〜と読んでいました。今回も、かなりおすすめです。

これについて以下の順で、それぞれまとめて行きたいと思います。

  1. なぜ生産性?
  2. どんな仕事がなくなる?
  3. どうやって生産性を上げる? 

1. なぜ生産性?

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今回のテーマは「生産性」ですが、なぜちきりんさんは「生産性」にこだわるのでしょうか?それは、今社会が急速に高生産性社会へとシフトしているからです。高生産性社会のシフトとは、社会全体が、生産性が高まる方向にどんどん動いていくことであると、ちきりんさんは定義しています。

そこで、その要因となった大きな例として、「シェアエリング・エコノミー」「ベーシックインカム」を挙げています。

Uber・Airbnbのシェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは、「使われていない資産、リソースを有効活用することで新しい価値を生むもの」です。これの代表的なものとして、今有名なのは、個人が自分の空き時間に自家用車で乗客を運び、乗車賃を稼ぐUberのようなサービスや、個人が空き部屋を宿泊場所として貸し出すAirbnbといったサービスです。

この2つのサービスは、資源の活用度合いをより高め、より有効に使われ始められるようになりました。つまり、これが「生産性が上がった」ということです。そして、このようなサービスは今後どんどん展開していくと、ちきりんさんは主張しています。

ベーシックインカム

もう一つ生産性が上がっている例として上げているものが、ベーシックインカムです。ベーシックインカムとは、簡単に言えば「保有資産や所得の高低にかかわらず、全国民に最低限の生活が可能になる金額の現金を、毎月配布する制度」です。

そんな制度、実際にやるのは不可能なんじゃないの?と思うかもしれませんが、実際にスイスでベーシックインカムの制度の是非を問う国民投票も行われました。結果は否決となりましたが、今後の社会に導入される可能性について注目が高まっています。

このベーシックインカムの制度に賛成しているのは、福祉充実派の人らしいです。というのも、生活保護はプライドがあって受け取らなかったり、審査があるため必要性があっても、拒否されてしまう人がいます。しかし、ベーシックインカムであれば全員もらえるため、気が楽で、審査もなく全員に行き渡るから、みんなハッピーという考えです。

しかし、ちきりんさんは、この考えとしてのベーシックインカムではなく、生産性の低い人を労働市場から排除するための新たなベーシックインカム論が出てきており、これが生産性が重要になってくる理由だと主張しています。

これはつまり、生産性が低いのに給料をもらっている人は排除して、生産性が高い人だけが働こう。だから、その他の人はベーシックインカムをあげるから、仕事の邪魔をせずに遊んでいてくれ〜、ということです。

そんなことが本当にありえるのか?と思ってしまいます。しかし、話を少し昔に戻すと、日本では江戸時代、人口の9割=数千万人が農民でした。それなのにしょっちゅう飢饉が起こり、地方では餓死する人もいるほどだったみたいです。ところが、今や日本が農業に従事しているのは、20万人ほどになりました。

さらに日本の食料自給率は低いと言われますが、主食の米は今も100%時給です。このように農業の生産性は江戸時代に比べれば、何十倍にも高くなりました。そしてこれはもっと上がっていくと、ちきりんさんは主張します。

なぜなら、手作業で農業を行なっていた形態が機械のおかげで生産性があがったように、つぎはロボットやドローンのおかげで、もっと生産性が上がっていくからです。これと同じことが、他の仕事にも当てはまっていくと言っています。

ITが急速に「高生産性社会」へとシフトさせている

長くなりましたが、この「シェアリング・エコノミー(Uber・Airbnb)」と「ベーシックインカム」の2つが、今後の社会でより、生産性が必要とされるようになった例の一つです。

ですが、社会の高生産性シフトは、実は今に始まったことではないと、ちきりんさんは主張します。というのも、産業革命で人力と馬力が蒸気機関に置き換えられた時から始まっていたからです。

ただ、そのスピードと範囲は、ここにきて一気に拡大しています。その最大の理由がインターネットをはじめとするデジタル技術であり、スマホやドローンなどデジタル技術を活かすさまざまなハードの開発です。さらに今後は、人工知能からIoT(Internet of Thing)、そして遺伝子工学まで、高生産性シフトを強力に推進するであろう技術が次々と実用レベルにまで降りてきます。まさに、メディアアーティストの落合陽一さんのいう「魔法の世紀」が近づいています。

ポイント
  • 生産性が高まっている例として上げられるのが、「シェアリング・エコノミー」や「ベーシックインカム」。
  • 今まで生産性は上がっていたが、ITの発達でそれが急速に加速した。
  • 今後さらに効率が重視される社会で、生産性がもとめられていく

2. どんな仕事がなくなる?

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悪い働き方

仕事というのもは、過去のやり方を振り返り、改善方法を考え、試行錯誤しながら少しずつ生産性を高めていくもの、というのがちきりんさんの主張です。しかし、ほとんどのホワイトカラーの部門には、8時間をかかった仕事を、半分の4時間にするにはどうすればいいかを考える習慣がないといいます。

逆に言えば、ちきりんさんが働いていたマッキンゼーでは、これを徹底しているということですね。では、なぜ多くの会社ではこの習慣がないのでしょうか?それは、生産性を上げる必要がそもそもなかったことが一つの理由です。

しかし、これからはそれも変わります。採用業務やITサポート、経理処理や受注センターなどに関しては、他の企業に委託し、たくさんの請負の専門企業が増えました。そして、今後は人工知能も活用し、今よりさらに高い生産性で業務を担ってくれる企業がでてきます。

生産性が高い仕事が生き残る

では次に、どんな仕事が生き残るのでしょうか?それは生産性が高い仕事、つまり、機械に任せても大きく生産性が変わりそうにない仕事です。

これからは、多くの仕事は人工知能やロボットに代替されるわけですが、失くなっていく仕事は「自動化しやすい仕事」ではありません。そうではなく、ロボットが担当した時に、人間が担当したときの生産性の差が極めて大きい仕事です。

例えば、配送トラックを人間が運転する場合と、自動運転自動車を比べてみましょう。自動運転は睡眠や休息も必要としませんが、数時間おきに休憩が必要となる人間に比べれば、圧倒的に生産性の違いが現れるでしょう。

これが「時間をかければ終わる仕事」が淘汰される典型的な例です。まだまだ、自動運転の実用は問題があるかもしれませんが、これも時間の問題でしょう。

また、「クリエイティブな仕事はなくならない」という主張もありますが、これも違うとちきりんさんは主張します。最近では、すでに人工知能に作曲をやらせたり、絵を描く、小説を書くという実験も始まっていて、レベルは高くないものの、どんどん制度は高まっているそうです。

その一方、ライブハウスでお客さんの雰囲気に合わせ曲順を変えたり、トークで会場を盛り上げて即興で演奏すると行ったようなミュージシャンの仕事は、人工知能付きのロボットでは置き換わるのが難しいでしょう。(おすすめの曲順を提案するなどはできそうですが)

ポイント
  • 仕事ができる人とできない人の違いは、8hをどう4hに短縮できるか考える習慣
  • これからロボットに変わる仕事は、人間と比べ生産性が高いか低いかで決まる

どうやって生産性を上げる?

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ここまで生産性がいかに重要であるかを話してきました。では、具体的にどのように生産を上げていくべきなのでしょうか?そこでキーワードとなるのは、「お金と時間」「やりたいことを明確にする」の2つです。

お金と時間こそが、最大の希少資源

生産性を上げるために、すべきことの第一歩が、お金と時間をどう使っていくかを意識することです。なぜなら、これらは私たちが皆もっており、かつ一番貴重な資源だからです。多くの人が「お金が足りない」もしくは「時間が足りない」と言っています。

ここで、お金と時間には大きな違いがあります。それは、お金は目に見えやすいが、時間は目に見えにくいという点です。時間もお金と同じくらい貴重な資源です。しかし、これは目に見えないため、軽んじられてしまいます。

よく「もう年末なの?」「もう1ヶ月が過ぎてしまった。」と思うことがあるのではないでしょうか?これがいかに自分たちが「時間の喪失」に鈍感であるかを示しています。

そこで重要なのは、何にお金を使ったか、また1日の何に時間を使ったかを見えるか化することです。多くの企業が、業務を他に外注できるようになったように、時間はお金で買うことができます。それは仕事だけではありません。英語の学習も、お金を払って良い教材を買えば、効率的に学習し、時間を増やすことができます。

生活の生産性を上げるためには、今の自分にとってなにが希少な資源なのか、それを正確に理解すること。そして、その資源の無駄遣いに敏感になることが大切です。

やるべきことを明確にする

次に生産性を上げるために、重要となるのが「自分はなにを手に入れたいのか」を理解することです。

私たちが大事にすべきなのは、過去ではなく未来です。今の時点で保有している希少資源をなにに投資するのがもっとも生産性が高いのか = 自分が欲しいものが手に入りやすいのか。そういう視点で考えてこそ、過去に縛られない生き方ができるというのが、ちきりんさんの主張です。

本来「自分のほしいもの・手に入れたいもの」を理解するのは難しいことではありません。しかし、大人になると「自分が欲しいもの」と「手に入れれば社会が評価してくれるもの」が違うことを理解し、多くの人が本当に「欲しいもの」を手にいれることを見誤ってしまうようになります。

極端な例で言えば、赤ちゃんは自分が欲しいものが明確で、それが与えられないとずっと泣き続けます。しかし、年をとるにつれ、社会を知り、欲しいものがわからなくなるようでは、それは成長とは言えないと、ちきりんさんは言います。

豊かな生活とは、希少な資源を最大限利用し、自分が欲しいものをできる限り、たくさん手にいれるという生産性の高い生活のことです。でも肝心の「欲しいモノ」を見誤ってしまっては、いくら希少資源を投入しても手にいれることはありません。

周りの人がやっているから、という理由でつい行動してしまうことも、よくあるかと思います。自分が本当に欲しいものを明確にし、なにに時間を使うべきなのかを、日頃から意識していきたいですね。

ポイント
  • 生産性を上げる第一歩は、希少資源である「時間」と「お金」を意識すること
  • 見える化することで、時間を有効に活用しよう
  • 本当に自分が欲しいものを明確にしよう

具体的な方法

では、具体的な方法を紹介していきましょう。具体的にすべきことは、「働く時間を減らす」「全部やる必要はないと決める」の2つです。

まず前提として、生産性は「インプット=希少資源」と「アウトプット=手に入れたい成果」の比率として計算されます。つまり、生産性とは投入した希少資源(時間やお金)に対する割合であり、希少資源がどれくらい有効に活用されたかというレベルを表す指標です。 

生産性 = 得られた成果 / 投入した希少資源 = アウトプット / インプット

 この生産性を上げる方法は2つあります。1つ目は、「より高い成果(アウトプット)を出して、生産性を上げる」こと。2つ目は、「インプット(時間)を減らして生産性を上げる」ことです。

そして、ちきりんさんは生産性を上げる一番の方法は、2番目のインプットを減らすこと、つまり、「働く時間を減らすことです」。学生であれば、勉強する時間を減らす、主婦であれば、育児や家事に減らす時間を減らすことです。

え?と思う人も多いかと思いますが、人が生産性を上げなけらばならないと真剣に考えるのは、「そうせざるを得なくなった人だけ」です。

最近、Yahooでは週休3日制が取り入れられ話題となりました。これは、長時間労働が問題視される中、社員の集中力を高めて仕事の効率化を測るために実際に取り入れられた実例です。

ヤフー「週休3日」真の目的は社員の生産性向上 

他にも本書では、日本とブラジルの農家の例や、ワーキングマザーと外資系企業の社員の例で、この「働く時間を減らすこと」について、詳しく説明されているので、ぜひ本書を読んでみてください。

では、最後に具体的な方法を以下に箇条書きにしておきます。実際に見たらわかるとは思いますが、これを実践するのは分かっていても、少し難しいと思ってしまいます。しかし、本書を読んで、どれだけ生産性が重要なのかを理解すれば、実行に移ることができるかと思います。

働く時間を減らす
  1. 1日の総労働時間を制限する
  2. 業務ごとの投入時間を決める忙しくなる前に休暇の予定をたてる
  3. 忙しくなる前にゆうかの予定をたてる
  4. 余裕時間をたくさん確保しておく
  5. 仕事以外のこともスケジュール表に書き込む
全部やる必要はない
  1. 「全てをやる必要はないと!」自分に断言する
  2. まず「やめる」
  3. 「最後まで頑張る場所」は厳選する
  4. 時間の家計簿をつける

さいごに

今回本書を読み、生産性の重要性を改めて感じさせられました。実は最近、自分の中で、「自分が本当にほしいものを明確にして、どうやったら手に入れられるかを考えること」をずっと意識していて、それが自分のテーマとなっていました。そんな中、本書を読んでみるとまさに同じことが書かれていて、とても参考になったため、ここまでまとめるに至りました。

しかし、具体的にやろうとすると難しい。だからこそ、自分が欲しいものを明確にして、それを見える化することが大事なのだと思います。また、具体的にはどうするの?という点については「エッセンシャル思考」を読むことで、さらに理解が深まるなと思いました。どちらもおすすめです。

ではでは、日々精進していきましょう。それでは最後に。

 

 

 

そんじゃーね!